<イシスの神殿>
イシスは、古代名ではアセトと呼ばれていました。オシリスとホルスとともに冥界の三神のひとりとして、またそれ以外にも多くの側面を持つ女神として崇められています。
オシリス神話にあるとおり、オシリスはセトによって二度死をもたらされます。一度目は、箱に閉じ込められナイル川に投げ込まれ、ビブロスに流れ着いたオシリスの遺体は、イチジクの木に包まれビブロスの王の宮殿の柱となり、イシスがそれを見つけ、天空にオシリスの復活を願います。その後、オシリスの復活を知ったセト神によってばらばらにされたオシリスの肉体はナイルに蒔かれ、それをイシスが拾い集め、トト神の力を借りて、創造のエネルギーの流れが蘇り、オシリスに命が吹き込まれ不死となったといわれています。このことから、イシスは古代エジプトの再生の儀式にはかかせない存在となり、偉大な癒しの魔力を持った女神として崇められるようになりました。古代エジプトでは、王は死して神となると考えられ、再生の儀式が行われましたが、イシスは死者の守護女神の筆頭として、その秘儀を司ると伝えられています。そのため壁画には、台座の上に横たわる、死せる王の足元に立つイシスの姿がたびたび見られます。この死と再生の神話は、霊的意識の段階を暗示的にあらわし、肉体を持つ(物理次元にいる)私たちの魂の永続性を表しているかのようです。そして、それには男性性の象徴であるオシリスと、女性性の象徴であるイシスの対極的なエネルギーが必要だということも示しているようにも見えます。多くの壁画にはヒエログリフがさまざまなシンボルとして使われています。「生命」を表すアンク、「安定と永遠性」を表すジェド柱(これは「聖樹」を象徴しているという見方もあります)、「力・支配」を表すウアス杖の組み合わせは、再生の儀式を描いたレリーフに非常に多く登場します。レリーフに描かれた数々のシンボルはあなたの内なる意識に何を語りかけてくるでしょうか。
また、イシスは、医師が治療を施す際にもその助けを求められた存在でもありました。イムホテップに代表される古代エジプトの医師は、同時に魔法医でもあり、治療は儀式的な側面が強いものでした。薬を調合するときは、「大いなるイシスよ、我を救いたまえ。我を襲うすべての悪しきもの、男神・女神のなす熱病や死と病災より免れしめたまえ」と祈ったと伝えられています。
さらにイシスは、言霊を使う力も持っていました。太陽神ラーの「真実の名」(注1)を知ることによって、イシスはその偉大なる力を手に入れたと言われています。このようにさまざまな力をそなえたイシスが、古代エジプトの女神信仰の中心となったのはうなずけることです。
ナイル川の増水はその年の豊穣と繁栄に大きく関係していたため、エジプトの人々にとって非常に重要でした。そして、増水の始まりの時期に太陽の光とともに東の空に昇る星・シリウスは「水の上の星」と呼ばれ、オシリス神とともに豊穣と繁栄を司る女神であったイシスは、この星との結びつきも強く、イシスを祭ったデンデラを初め5つの神殿は、夏至の日(古代エジプトの暦ではその日が元日)の朝昇るシリウスに向けて建てられていて、その光がイシスの像の目にあたるようになっています。
また、フィラエ島は古代エジプトでは聖なる島とされていました。イシスはここでホルスを生んだとされており、イシス神殿の中には誕生殿があり、至聖所の中にはその場面を描いた壁画も見ることができます。古代エジプト後期になるにつれて、イシスがホルスを抱いた像がたくさんつくられるようになり、それは聖母マリア信仰に引き継がれていきます。
| 注) |
ものごとの本質を正確に言い表す言葉は「力ある言葉」とされ、そのものごとを支配することができると考えられていました。したがって神々の「真実の名」を知り、それを口にすることができれば、神々を支配することも可能でした。現在呼ばれている神々の名は、「○○を行うもの」とか、「○○に住まうもの」とかという意味で、正確には「真実の名」ではありません。 |
<クフ王のピラミッド>
玄室の内部に石棺があることから、ファラオの墓と言われてきましたが、そこには、王家の谷にある墳墓の中に見られるような壁画、あるいは死者が永遠の生命を得る旅に必要な儀式の言葉や神への祈りはまったく見られません。
また、ピラミッドの四辺は、正確に東西南北を向いていて、誤差がほとんどありません。四辺の長さもほとんど同じで、しかも内部構造にいたっては、綿密に計算されたとしか考えられない数値で構成されているのです。現代の建築技術をもってしても最高レベルの技術を要する、もしくは不可能なものが現存しています。なぜこの精度を必要としたのか、現代の建築家にとっては、まったく不可解であり、どのようにつくられたかにいたっては、現代のどの諸説も納得のいく答えを出せずにいます。それ以外にもピラミッドには、数々の符号があります。いくつかの研究を調べて見ると、非常に興味深い疑問がいくつも出てくることでしょう。
ピラミッドは底辺が大地を象徴する正確に四方を向いた正方形で、側面は霊的向上を表す上向きの正三角形となっています。まるで、大地の巨大なエネルギーを吸引し、それを集約して中央部の玄室とその上に設けられている重力拡散の間を通過して、玄室で儀式を行う人々の魂を天界へと運び上げることを目的としているかのようにも見え、その神秘は人々を惹きつけてやみません。
今回のスピリチュアルツアーでは、私たちのツアーグループのみの貸し切りで、ピラミッドの内にある玄室でのワークをする時間が設けられています(玄室への往復時間を含み1時間)。あなたの魂の記憶は、ピラミッドの中に立つあなたの疑問にどのように答えてくれるでしょうか。
<その他>
■アブシンベル神殿
新王国時代(紀元前1565〜1070年頃)の偉大なるファラオ・ラムセス2世によって建造された大神殿で、ひとつの岩山をくり貫いて造られた岩窟神殿です。4体の巨大なラムセス2世像がナセル湖に向かって鎮座しています。大神殿に驚かされるのはその大きさだけではありません。ラムセス2世はこの神殿にある演出を施しました。最も奥にある漆黒の至聖所は、毎年春分・秋分の日に地平線から太陽が昇った瞬間、その最初の光が入り口から差し込み、正確にラムセス2世とアメン・ラー神(最高神)を照らし出すようになっています。このような演出を成し遂げえた古代エジプト人の天文学への造詣の深さと自然の営みへの畏敬の念と太陽信仰の深さがうかがい知れます。
大列柱室やその奥の前室には非常に美しい数々のレリーフが描かれています。そこには10mの神格化されたラムセス2世の像が四体ずつ並んでいて、壁には一面のレリーフがあります。ヒッタイト(今のシリア)と繰り広げた死闘「カディシュの戦い」の模様など、勇猛に戦うラムセス2世の姿が所狭しと描かれています。更に進むと、一番奥の空間、至聖所に辿り着きます。そこには4体の石像がひっそりたたずんでいるのです。古代エジプトのファラオの中でも、もっとも多くの建造物を各地に作ったといわれているラムセス2世と、その時代の人々の息吹を今尚伝える大神殿です。
■王家の谷
ファラオの「永遠の住まい」となる王墓が点在する谷。同じ西岸にあるデール・イル・マディーナと呼ばれる町に住まう王墓を築く職人たちは、様々な秘儀に通じるとともに、高度な技術をもち、その建造にあたったといわれています。王墓の中では、ファラオが神として復活するための儀式が行われ、そのため儀式や祈りの言葉や、死後の旅のレリーフが施されています。
■カルナック神殿
アメン神が祭られている神殿。アメン神は、後に太陽神ラーと融合し最高神アメン・ラーとなったため、その神殿は拡張がなされ続け、もっとも最大規模の神殿となっています。